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好企画!「棟方志功 萬鉄五郎に首ったけ」展

棟方志功の「わだばゴッホになる」という自伝は私の愛蔵書だが、
萬鉄五郎にも心酔していたことは知らなかった。

「棟方志功 萬鉄五郎に首ったけ」展は、棟方志功が、いかに萬鉄に私淑していたかを
両者の画業から比較する、実に面白い展覧会

ちょっと遠いが(片道2時間半)、茅ヶ崎美術館まで出かけました。

萬鉄五郎は、フォービズムやキュービズムを、日本的表現に昇華させた人。

20151023 萬鉄五郎 裸婦習作 1909 16㎝
裸婦習作 1909年
 
芸大在学中は黒田清輝のもと、天才的な描写力を発揮した。

20151023 萬 女の顔ボアの女 1912 18㎝
女の顔ボアの女 1912年 

その後、フォービズムやキュービズムに影響され、ゴッホのような作品も。

20151023 萬 窓1926 18㎝
窓 1926年 

西洋の油絵から脱するためにもがきつづけ、この作品は一見マチス?と思わせながら
窓の風景は日本という境地に。

20151023 萬 水着姿1919 18㎝
水着姿 1919年

代表作のひとつ「水着姿」では、南画や鉄斎のような筆の動きで、
もはやゴッホもマチスも消化しきった独自の世界、土着的魅力を確立する。


棟方志功はゴッホに触発され、油絵画家を志向して青森から上京するも、
何度も落選し方向を見失っていたころ、川上澄生の版画を見て、方向転換。
版画作品でようやく入選を果たす。

その入選作品展で、同時に「萬鉄五郎遺作展」を目にする。
後に棟方は、
 「萬鐵に首ったけ惚れて」いるのだ。仕方がないほど、参っているのだ。
と板響神という自伝に書いている。

版画に転向する前の油絵作品も数点展示されているが、
どれもフォービズムの影響を強くうけたような作品で、
それはそれで勢いがあって面白い。
しかし、「日本人の描く油絵」の限界に悩んでいた棟方にとって、
土着性の強い萬の晩年の作品は、棟方にとって衝撃的な印象だったのだろう。

20151023 萬鉄五郎 口髭のある自画像 1914 16㎝
棟方志功所蔵 萬鉄五郎 口髭のある自画像 1914年

この絵は、棟方が、ようやく入手しアトリエに飾っていた萬の自画像。 
入手後、「萬鉄五郎先醒」と裏書したという。
「先醒(せんせい)」とは、先に目覚めた人という意味だろうが、
「日本人としての洋画」を追求し続けた棟方にとって、 
作品に漂う土着的な匂いに共通するものを誰よりも強く感じ取ったからだろうか。

会場には、棟方の油絵時代の作品9点はじめ釈迦十大弟子から
彩色倭画と呼ばれる棟方独自の作品が100点近く並び、
力強い生命力を表現する自由奔放なムナカタワールド。
萬の影響を知ると、一層新鮮に版画に見入ってしまう。


20151023 棟方 湧然の柵1953 19㎝ 
湧然の柵 1953年

 20151023 棟方 道標の柵 1963 20㎝
道標の柵 1963年

20151023棟方 天乃宇受援乃美古度御渡留図(あめのうずめのみことおどるず)1973
天乃宇受援乃美古度御渡留図(あめのうずめのみことおどるず)1973年

今回は、大型の版画を上下逆に描いた「湧前の柵」と「没前の柵」が並んだ展示、
これも大型で手彩の色が鮮やかな「道標の柵」、
華やかで生気あふれる彩色倭画「あめのうずめの柵」
が印象に強く残った。

私の好きな作家2人のつながりを、200点近くの作品や資料で一覧できる好企画。
かつてパリで開催された「ピカソとマチス展」ほどのド迫力はないが、
棟方や萬のフアンには、見ごたえ十分。遠くまで足を運んでよかった、よかった。

同展は11月3日までやってます。お好きな方、ぜひ足を運んでみてください。



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